オーベルジュ花季【宿泊記】一流料理人も注目するシェフの技

伊豆で料理の美味しい宿ってどこ?と聞かれると非常に困る。新鮮な魚介の揃う伊豆なら料理の美味しい宿なんていくらだってあるだろうと思うものだが、ここならおススメできるという宿はありそうで意外と少ない。料理のインパクト重視であれば浜の湯もあるが、料理が美味しいというのとは何かがちがう。

料理を目的にあの宿にいってみたい。そう思える数少ない中の1つで、ちょっと異質な宿をご紹介してみたいと思う。

それが伊豆伊東市にあるオーベルジュ花季だ。

宿に泊まるの一番の目的が料理で、部屋に温泉があってくれたらそれで十分と言う人にはもってこいの宿と言える。

部屋    ★★★★☆☆☆☆☆☆
風呂    ★★★★☆☆☆☆☆☆
食事    ★★★★★★★★★
施設    ★★★☆☆☆☆☆☆☆
サービス  ★★★★★☆☆☆☆☆
満足度   ★★★★★☆☆☆☆☆
リピート  ★★★★☆☆☆☆☆☆

特徴の無い宿は記憶の中からどんどん忘れ去られていく中で、たった1度しか訪れたことが無いにも関わらず、どうしても忘れられない宿がある。客室は2室のみ。当時、伊豆で最も小さい旅館でありながら、驚くべき異彩を放った宿それが花季だ。はなごよみと読む。いまはオーベルジュという冠がついて、オーベルジュ花季。伊東市の旅館街から山側に入った閑静な住宅街にそれはある。

オーベルジュ花季 宿泊記

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伊豆でもオーベルジュを名乗る宿が増えてきた中、料理だけで勝負して記憶に刻まれた宿と言って思い浮かぶのは、アルカナイズと正平荘、そして花季くらいだろうか。その花季がオーベルジュを名乗るのは何とも収まりがいい。食事だけの為に2時間車を走らせる価値が十分にある。一見旅館とは気がつかない。小料理屋のような佇まい。暖簾をくぐるとバーカウンターがそこに見える。明るく出迎えてくれるのは女将の時子さん。田舎の親戚の家に帰ってきたようなそんな気分にさせられる。

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お菓子とお茶を頂くと3階の部屋へと案内された。部屋は10畳。こじんまりとしている。窓の外には川が流れるも特別絶景というわけでもない。

花季の風呂

早速お風呂をチェック。

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部屋のお風呂は温泉。泉質は、アルカリ性単純温泉の循環式。檜風呂で広さは大人ひとりサイズ。

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窓を開ければ半露天で涼しい風が入ってくる。

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景色を楽しむお風呂ではないので、ブラインドで外からの視界を調整しつつのんびり。少したつともう出ようかなという気になる。泉質がいいのだろう、温まり方がハンパない。風呂から出て畳でゴロンと横になってもしばらくポカポカが続いている。部屋で何かをするでもないし、夕食までひとやすみ。

花季の夕食

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そしてお待ちかねの夕食。

広いダイニングがパテーションで仕切られ、もう一方では夕食のみのお客さんが来られるとのこと。そういう利用もあるんだと知った。
メニュー表は無い。料理が運ばれてくるたびに、女将の時子さんが説明してくれる。うろ覚えな為、写真でご堪能ください。

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前菜から心をギュッと鷲掴みにされる。器もさることながら、新感覚解析と呼ぶ素材の斬新な組み合わせ。ワインを飲まない私でも、ソースと素材のマリア―ジュが口の中で広がり、かみしめる度に旨味が増していく。

うまい!!

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シンジョも出汁が絶妙。黄金に輝くス―プを飲み干すと心まで沁みわたり次の品を期待させる。

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金目鯛のカルパッチョ。金目の甘さを引き立たせる絶妙な味付け。伊豆では金目をよく使うが、こういう出し方はここが初だったかもしれない。

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そしてうどん。
なぜここでうどんと思うなかれ。シェフ明恵さん奏でる料理は全体で完成する。品数の帳尻を合わせる1品ではないのだ。

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そして名物おばあちゃんのゴマ豆腐。うまいうまいとは聞いていたが、もはやスイーツ。コクのあるソースとゴマの香り豊かな豆腐、なめらかな舌触りが何とも美味。

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もっと食べたいで止められることで、お持ち帰りのお土産で買うことになる。

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金目の菊花餡掛け。今見ても美味そうだが実際は予想の1歩上を行く味。伊豆だけでなく都内からも評判を聞きつけてシェフがこの料理を研究に訪れていると聞いてはいたが、噂ではないことを味をもって確認した。

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地元の農場の牛乳で作った和風グラタン。なぜここでグラタン?なんて野暮なことは考えちゃいけない!出されるままに食べる。メニューが無いこと、そして奇想天外な品出しの順に、これまでの懐石料理の凝り固まった概念のままでは、花季の料理を楽しめないことを早々に悟る必要がある。そう自分を説得させてしまうのに理由はこの1つで十分だ。美味い!!

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フルーツと海鮮のカクテル。名前を覚えていないから勝手に命名。シェーカーは口の中になる。交じり合う楽しさを味わえる。しかしこの計算しつくされた食材やソースのバランスは、天性のものとしか言いようがない。何せ明恵シェフは、もともとデザイン関係のお仕事をされていたらしい。

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盛り付けや、ダイニングのインテリアにそんなセンスの良さを感じさせてくれるのはわかるが、見る楽しさを味にまで反映させるのは並大抵のことではない。オーベルジュと言う言葉が独り歩きしているペンションやホテルを見かけるが、これぞオーベルジュと呼ぶにふさわしい宿だ。

花季の朝食

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朝食も朝どれのイカ刺を初め、作り置きではなく出来立てが運ばれてくる。これも1日2組だけという宿の恩恵かもしれない。

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総じて残念なこともある。それは料理が一流であるが故に目立ってしまう女将さんの個性。お客さんと話すのが好きなのはわかる。でも料理を運んだそばからしばらく話が止まらなくなる。それが料理が運ばれてくるたびとなると、食べられないだけでなく、めんどくさく感じてしまう。途中で察してもらえたらと、相槌をする程度で会話がはずまないように努めるもずっとしゃべり続けられていた。

これが大きなマイナスだなぁと感じてしまった。本当にもったいない。一流のサービスマンは、完全に黒子に徹して楽しませるトークも上手ければ引き際もうまい。今は改善されているかもしれないが、そこが一番もったいないなぁと感じさせるポイントだった。

花季のおススメポイント

とにかく料理が絶品。料理だけの為に行きたいなぁと思う。もし近くの旅館で一泊朝食もしくは素泊まりのプランがあれば、夕食だけ花季で済ますというのも手かもしれない。

部屋は10畳の和室と温泉だけの為、部屋での時間を楽しみたい私にとっては、夕食だけで十分かなぁという印象。ただ、美味しい食事が食べることが1番で、部屋に温泉がついていて、部屋にこだわりがなく安く済ませたいと言う人にとっては、伊豆でもNO1のコストパフォーマンスになるかもしれない。

部屋    ★★★★☆☆☆☆☆☆
風呂    ★★★★☆☆☆☆☆☆
食事    ★★★★★★★★★
施設    ★★★☆☆☆☆☆☆☆
サービス  ★★★★★☆☆☆☆☆
満足度   ★★★★★☆☆☆☆☆
リピート  ★★★★☆☆☆☆☆☆


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